何を備えれば良いのか?シェルターの備蓄品
普段から何を備えておけば良いのか?
新年早々能登半島地震に見舞われました。お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の方々へ謹んでお悔やみ申し上げます。被害を受けられた皆様に対しまして、心よりお見舞い申し上げます。そして、いまだ行方不明となられている方々のご無事と、一日も早い復興をお祈り申し上げます。
食料や毛布が足りないなど、救援物資の不足に関する報道がありました。簡単に解決できる問題ではありませんが、いろいろと思うところがあり、今回はスイスの例を紹介するとともに、普段から何を備えておけばよいのかについて、簡単に記します。
以前当協会のモデルルーム・ショールームを視察された100万人近い住人を抱える某自治体の議員が「うちの自治体は500人分2日間しか備蓄していないことを最近知りました。今度議会で採りあげます」とおっしゃっていました。自治体は避難生活に必要な食料や水などの備蓄品を避難所などに準備しています。
しかし、前述の議員の発言のとおり、予算や場所の問題などから絶対数が足りない自治体が多く、有事の際はロジスティックの問題もあるため、なかなか目的地まで到達できないケースも考えられます。
スイスの場合、各自治体が国民の6か月分の食糧と水を備蓄して、退避命令が出た際にはレセプションセンターで住民に引き渡すというフローが確立しています。
スイスの有事の際の避難フロー(主に武力行使事態を想定)
しかし、公助が充実しているからとはいえ、それだけに頼っているわけではなく、自宅に核シェルターがある場合は、シェルター内には食料と水を保管しているケースが見られました。また、簡易トイレや大量のトイレットペーパーが準備されていました。
以前もニュースで書きましたが、スイスでは市民保護局が国民向けに避難心得を記した小冊子を配布しています。避難時に取る行動や避難時の心構えが記された小冊子になります。
スイスでは、冷戦後はシェルター不要論が主流となり、この手の小冊子は配布されていても読まれていないなど、シェルターは隅に追いやられていましたが、ロシアのウクライナ侵攻後は改めてシェルターの価値が見直され、避難や備蓄について配慮する方が増えてきています。政府も熱心にシェルターの啓蒙を推進しています。
▼スイス政府発行の小冊子については、過去記事をお読みください
そうした中で、この避難心得を記した小冊子が見直され、飲料水や食料品、常備薬など、基本的な備蓄品を準備するケースが増えているようです。
小冊子裏面。保存食のチェックリスト
水、食料に加えて、バールやパワージャッキ、スコップなども備蓄する
では、何をどのくらいのボリュームで用意しておいた方が良いのでしょうか?備蓄品と言えば、誰もが思い浮かぶのが、水、保存食、懐中電灯、ラジオ、常備薬、靴、ヘルメットあたりでしょうか。さすがにこのあたりは準備しているご家庭も多いことでしょう。
水は大人一人一日3リットル程度が必要となり、食料は成人男性は一日2200キロカロリー、成人女性は一日2000キロカロリーが必要です。これをできれば1週間分は用意しておいた方が良いでしょう。
ちなみに、核攻撃を想定すると残留放射線が1/1000まで減衰する期間は2週間となりますので、2週間分の食糧と水が必要になります。実際に用意してみるとおわかりいただけるのですが、かなりのボリュームとなります。
当協会のモデルルームは7人収容することを想定している。7人分2週間の食糧と水をそろえると、この段ボール分のスペースが必要となる。
水や食料は準備しているご家庭も多いかと思いますが、見逃されがちですが、簡易トイレとトイレットペーパーを準備しておいた方が良いでしょう。当協会のモデルルームにも置いてありますが、日本セーフティ―株式会社から発売されているラップポンという商品は、臭い、細菌・ウイルス、化学物質を外部に漏らさない仕様を採り入れています。
おむつなどの汚物を入れるゴミ箱タイプも用意していますので、乳幼児や要介護者がいるご家庭は用意しておくと良いでしょう。
見逃されがちなものとしては、エネルギー源です。自然災害を含む有事には電力会社からの電気の供給が停止します。その場合、頼りになるのが蓄電池です。当協会でも現在ある企業と蓄電池の自動制御システムを開発中ですが、モデルルームには蓄電池を展示しております。
この他に、スイスではバールやパワージャッキ、スコップなど、堆積した瓦礫を除去するための工具などもシェルターに備蓄することを推奨しています。
参考までに当協会のモデルルームの動画を以下にリンクしておきます。当協会のモデルルームは核攻撃を想定した仕様となっていますので、ガスマスクや防護服、ガイガーカウンターまで用意していますので、10年保存できるトイレットペーパーなど、一般的な備蓄品などでは参考になるものがあるかと思います。是非ともご高覧ください。