防災の日に考える「備蓄品」~核シェルターの備蓄を参照~
2023年9月1日
9月1日は防災の日。
当協会のニュースもいつもは核シェルターや武力行使事態などの情報ばかりですが、本日は防災グッズ、備蓄品に関して、スイスの核シェルターの備蓄品を参考にして、災害時に必要なモノを紹介してまいります。
意外と忘れられがちなモノを紹介していきましょう。
- 水、食糧、簡易トイレは当たり前。
- まわりは瓦礫だらけの事態も想定。
- 工具を準備しておく。
自然災害、武力行使事態を想定して備蓄品を準備
自然災害や武力行使事態を想定して、平時から準備しておきたいのが備蓄品です。年一度の防災の日に備蓄品をチェックしてみるのも良いでしょう。備蓄品というと誰もが思い浮かぶのが、飲料水、保存食、懐中電灯、ラジオ、簡易トイレ、トイレットペーパー、常備薬、靴(逃げ出す時の)でしょう。このあたりを準備しているご家庭は多いことでしょう。
たとえば飲料水は大人一人一日3リットル程度が必要とされています。また、食糧については、運動量や体格によっても異なりますが、成人男性は一日2200キロカロリー、成人女性は一日2000キロカロリー程度必要とされています。
こうした基本的な備蓄以外に災害時に何が必要なのか、核シェルターが普及しているスイスの例を参考に、備蓄品について考えてみましょう。
スイスの一般的な備蓄品、避難時に持ち出すものは?
スイスでは連邦政府市民保護局が国民向けに配布している避難心得に関する小冊子があります。避難時に取る行動や避難時の心構えについて記されています。ここには飲料水や食料品、衛生用品(常備薬)、ラジオ、懐中電灯、予備電池、ろうそく、マッチ(またはライター)、ガス調理器など、基本的な備蓄品について記載されています。
また、自宅に核シェルターがない場合は公共のシェルターを割り当てられますが、昨日のニュースでお伝えしたとおり、非常時の持ち出し荷物としては、IDカード(マイナンバーカードのようなもの)、健康保険証、銀行カードの他に、常備薬や、配布されるヨード錠、懐中電灯、ラジオ、現金などが必要となります。
ここまでは一般的な防災時に必要な備蓄品類になります。
少なくとも水と食料は用意しておくことが記載されている。
蓄電池は非常時のマストアイテム
さて、ここまでは一般的に必要な防災グッズをあげてきました。ここからはスイスの核シェルターの実地調査を踏まえて、見逃されがちだが重要なものについて述べてまいります。まず蓄電池。非常時はインフラが停止してしまう可能性があります。換気装置は手動でも動かすことは可能ですが、できるだけ体力を消耗させることは避けたい。となると非常用発電機や蓄電池に電気を頼らざるをえません。
中規模以上のシェルターでは防爆仕様の排気ガス用バルブを用いるなどして非常用発電機を導入することも可能ですが、住宅の場合、あるいは公共のシェルターなどでも各シェルター個室では蓄電池に頼ることになります。蓄電池は必須アイテムと言ってよいでしょう。
また、忘れられがちですが、簡易トイレも必須です。中規模以上のシェルターではシェルター内に貯水タンクを導入して、上下水道が止まった場合には貯水タンク経由でトイレやシャワーに水を供給し、汚水は排水ピットに溜めていく方法や、循環型にして濾過して再利用するシステムを採用できますが、個人住宅には簡易型のトイレを使用するケースが一般的です。
当協会でお薦めしているのは、日本セーフティー株式会社から発売されているラップポンという商品です。(ラップポン製品サイト:https://wrappon.com/)
においだけでなく、細菌やウイルス、化学物質を外部に漏らすことがない仕様です。トイレットペーパーなども準備しておきましょう。
周囲は崩壊瓦礫だらけ、という事態も想定しておく
巨大地震や武力行使事態が発生した場合、建物が崩れて瓦礫が崩壊する可能性があります。最近のトルコの大地震やウクライナの映像を見ても、瓦礫がひどく堆積しているケースが多々見られます。核シェルターの場合は非常用脱出口から脱出できます※が、念のため、核シェルターには備品として各種工具を用意しておくのが一般的です。
バールやスコップ、ハンマー、ノコギリなどの一般的な工具に加えて、パワージャッキを用意しておくと重量物を排除しやすくなります。また、瓦礫が堆積していて逃げられないことを想定して、ブザーや拡声器、ビーコンを用意しておくとより安心です。
なお、ヘルメットは必ず家族全員分準備しておきましょう。念には念を入れて家族全員分の安全靴と長靴、手袋、さらに防護服と防護用眼鏡、ヘッドライトにロープも用意しておくとさらに安心です。当協会のモデルルームにはガスマスク(防護マスク)も用意していますが、さらに安心を求める方は準備しておくと良いでしょう。
※非常用脱出口は崩壊瓦礫堆積範囲外に設ける安全原則があります。
当協会のモデルルームに置かれた備蓄品の数々。防護服やガスマスクまであれば安心です。
事務局