終戦記念日を迎えて・・・スイスと日本に見るシェルター整備 ~事務局より

2023年8月15日

終戦記念日を迎えて

3月にスイスに核シェルターの視察に行きました。当協会と付き合いの深いandair社があるスイスのアンデルフィンゲン州に滞在して、チューリッヒ周辺をまわりましたが、この地域はドイツに近く、言語もドイツ語です。ドイツに近いということもあり、第二次世界大戦の後半は連合国軍による誤爆が頻発したそうです。

現地では、あの教会が誤爆された、あの建物が誤爆されたといった話をよく耳にしましたが、こうした誤爆の体験も核シェルター整備につながっているとのことでした。翻って日本。誤爆どころか核攻撃を受け、東京大空襲をはじめ、各地で大規模な空襲を受けています。にもかかわらず、核シェルターがない状況です。

その背景には多くの理由があると思いますが、当時のシェルター=防空壕が意味をなさなかったことも挙げられるでしょう。まさに当協会が何回かニュースで記事にしている「核シェルター 意味ない」論争につながりますが、第二次世界大戦中の日本の民間防衛としての防空壕はたしかに意味がないものが大半でした。これには理由があります。

木造住宅の床下に洞窟を掘る。まさに「防空壕 意味ない」

日本における防空壕は1940年の「防空壕構築指導要領」で、集落における空き地や自宅の庭など、家から離れた屋外に堅牢な防空壕を造ることが推奨されていました。しかし、1942年に「防空待避施設指導要領」では自宅の床下に簡素なものを造るように変更されました。

これは、避難場所ではなく、消火活動を優先させていたため、すぐに出入りできないとならなかったことによります。木造の住宅の床下に掘られた洞窟ですので、当然そんなところに逃げたら爆撃の影響で死んでしまいます。

当時は国際条約はあったにしても守られてなく、民間施設も標的です。直撃される可能性もあり、さらに直撃は逃れられても火災に巻き込まれて死んでしまう、そんな状況でした。現在の状況に置き換えると、アメリカで普及している耐竜巻、耐ハリケーン用のストームシェルターを核シェルターと称しているような状態です。たしかに、これでは「核シェルター 意味ない」です。

戦時中の防空壕に話を戻すと、木造住宅の床下の洞窟が防空壕ですから、これはまさしく「防空壕 意味ない」でした。シェルターを意味あるものにするには、リスク評価をしっかりと行い、リスクへの応力を算出して、構造を検討していく必要があります。

本日は終戦記念日です。かつての防空壕を教訓にして、一定の水準を満たしたシェルターの整備を願ってやみません。

なお、今回の記事を執筆するにあたり、Wikipediaの「防空壕」という項目をのぞきましたが、フェイクな記述が多く、これも「防空壕 意味ない」です。特に「日本の防空壕」や「注釈」はヘンテコな独自研究であり、怒りを感じました。エビデンスに基づかない独自研究とやらは有害でしかありません。

核シェルターは地下に

核シェルターは地下に鉄筋コンクリートで造ることが大前提。

日本核シェルター協会
事務局

この記事は役に立ちましたか?

はい いいえ