緊急提言~電磁パルスに備える。データセンターのシェルター化を急げ!

電磁パルスに備える。データセンター

高高度核爆発を実現できる能力を北朝鮮が獲得

先般お伝えしたとおり、先月、北朝鮮が高度500kmに軍事偵察衛星を打ち上げることに成功したため、北朝鮮が高高度核爆発を実現できる能力を保有していることが明らかになりました。

さらに昨日、ロフテッド軌道によるミサイル実験を行いました。報道では高高度核爆発による電磁パルスについて触れられていませんが、北朝鮮は高高度核爆発による電磁パルス攻撃ができる能力を見せつけています。

高高度核攻撃の影響について、これまで何度か記事を掲載しています。また、YouTubeでも高高度核爆発による電磁パルス(EMP)の被害影響についても解説しております。

こちらもご参照ください。

▼電磁パレス攻撃について動画でも説明しています

簡単に伝えると、核攻撃時には「爆風、熱線、初期放射線、放射性降下物」という4種類の直接的な被害影響がありますが、高度30~400kmという高高度で核爆発が発生すると爆風などは地上まで到達しません。

しかし、電磁パルス(EMP)という強力なパルス状の電磁波が広い範囲にわたって地上に降り注ぎ、地上の電子機器や電子部品を使用する機器を破壊し、電子機器に頼る電力インフラ、電気インフラ、通信インフラ、交通インフラなど、インフラを崩壊させます。

電磁パルス攻撃とは?

高度次第では、日本列島丸ごと、あるいは本州丸ごと、東名間丸ごと、関東地方だけ、阪神間だけなど、広範囲にわたってインフラを停止させることが可能です。この高高度核爆発を実現させる能力を北朝鮮が間違いなく獲得していることが先月明らかになりました。

そして、昨日のロフテッド軌道でのミサイル実験。これは間違いなく、北朝鮮による示威行為~高高度核爆発による電磁パルス攻撃ができる能力を世界に示したと言えます。

対策さえすれば電磁パルス攻撃は怖くない

高高度核爆発による電磁パルス(EMP)攻撃のやっかいな点は人体にはただちに影響はないので、国際的な規制がかかりづらい点です。たしかに、直接影響を受けるのは電子機器や電気設備なので、電磁パルスが直接死を招くわけではありませんが、対策をしていなければあらゆるインフラを崩壊させますので、社会的弱者から死に至ります。

以前記事にしましたが、かつて米国議会EMP議員団が認定した国会・国土安全保障調査会のシナリオによると、10ktの核弾頭がニューヨークの上空135㎞で爆発した場合、死傷者は数百万人、インフラ被害は米国東部の全域、停電地帯からの避難民も数百万人、復旧まで数年かかり、経済的な影響は数兆米ドルと想定されています。

他にも原子炉や工場、製油所、パイプラインなどの火災や爆発等が発生することで、放射線や化学物質の脅威にさらされるとされています。ちなみに、米国では2015年に重要インフラ保護法が制定されて、EMP対策が進みました。

話を戻します。これまでも国際的な規制について議論が起こりましたが、強硬に反対する国があり、規制にはつながりませんでした。ですので、実現可能性が高い攻撃となります。対策自体は確立されていますので、適切な対策さえ取っておけば問題ありません。

電磁パルス自体は古くから太陽フレアで知られている現象であり、1962年の米国による高高度核実験(スターフィッシュプライム)や、同年の旧ソ連によるオペレーションK以降研究が進んでいるため、対策方法は確立されています。インフラ側での対策と、建築物側(主に電設)での対策をしっかりと取っていれば防ぐことは可能です。

高比抵抗の岩盤を利用したデータセンターのシェルター化

では日本はどうでしょうか?日本では電磁パルス対策はまだほとんど進んでいません。また、インフラ、データセンターなどの電磁パルス対策も進んでいるようには見えません。さらにもう一歩踏み込みますと、データセンター自体の守りも万全とは言えない状態です。

世界を見渡せば、スウェーデンのBahnhof社がストックホルムの核シェルターをデータセンターとして再利用したことが有名です。この元核シェルター現データセンターは冷戦期に高比抵抗の花崗岩の岩盤の地下にかつて造られました。

スウェーデンのBahnhof社

▼核シェルターを利用したBahnhof社のデータセンター動画

海外では廃坑を整備してデータセンターとして利用するケースもあります。また、最近は新設する場合は地下に建設するようになってきています。データセンター自体がシェルターとなっています。

データセンターなので電磁パルス対策は当然ですが、それだけでなく、ミサイル攻撃や核攻撃による爆風や熱線にも耐えられるような構造が求められています。

日本の場合は自然災害対策として耐震性能の確保も重要ですが、核保有国に囲まれたリスクの高い地域ですから、データセンターのシェルター化も必須と言えるでしょう。地下シェルターは地震に対しても効果的です。

▼核シェルターは地震に強いについて動画でも説明しています

残念ながら、日本ではデータセンターのシェルター化以前に分散化もあまりできていません。アメリカでは、電磁パルスの危機が指摘されるようになってから、かつて花崗岩の山体中に造られたシャイアン・マウンテン空軍基地の価値が見直されました。

日本にも長野県から岐阜県にかかる日本アルプスには高比抵抗の花崗岩などの岩石が分布しています。また、この地域には古いトンネルが多いため、再整備することで、データセンターのシェルター化、耐EMP化を図れる可能性が高い。さらにデータセンターの分散化にもつながります。

古いトンネルをデータセンター化する

当協会と関係の深いスイスでは、古いシェルターの設備入替や改修が緊急の課題になるとともに、古いシェルターの発電機や電気を使用する機器の電磁パルス対策がテーマになっています。日本はそもそもシェルター自体が整備されていないので、電磁パルス対策を施したシェルターの整備が必要になります。それとともに、データセンターのシェルター化も必須です。

北朝鮮が高高度核爆発を起こせる能力を獲得した今、シェルター整備とデータセンターのシェルター化は緊急の課題です。

日本核シェルター協会
事務局

この記事は役に立ちましたか?

はい いいえ