緊急提言! 北朝鮮の軍事偵察衛星を受けて~インフラの耐電磁パルス攻撃の必要性

先週、北朝鮮が軍事偵察衛星を打ち上げました。

報道によりますと、高度約500㎞をおよそ90分の周期で地球を周回しています。さまざまなメディアが報道していますが、あまり報道されていない点について、当協会から緊急提言をさせていただきます。

高高度核爆発による電磁パルス攻撃が現実的になった!

皆様ご存じのとおり、2017年までに何度も核実験を行い、既に核兵器は保有していると見られています。また、度重なるミサイル実験を行い、既にロフテッド軌道による発射テストにも成功しています。そのため、高高度核爆発による電磁パルス(HEMP、以下同)攻撃を実行する力を既に保有していると考えられてきました。

今回、軍事偵察衛星の打ち上げに成功しましたが、これによって北朝鮮は間違いなくHEMPの実行能力があることが明確になりました。今回の打ち上げは、単に軍事偵察衛星を打ち上げたという意味もありますが、HEMPの可能性が近づいているという意味もあります。

報道ではあまりふれられていませんが、今回の打ち上げでHEMPが現実的になり、日本は重要インフラやデータセンターなど、あらゆる建築で耐電磁パルス仕様の整備が必要になりました。

▼電磁パレス攻撃について動画でも説明しています

高高度核爆発による電磁パルス攻撃

日本でもようやく話題にのぼるようになってきたHEMP。高度30~400㎞で核爆発が発生した場合、爆風や熱線、放射線、放射性降下物は地上にまで到達しませんが、強力なパルス状の電磁波は地上に到達します

そして、ある高度で爆発することによって、本州を丸ごと包み込むように電磁パルスで攻撃を行い、ありとあらゆる電子機器・電子部品を使用した機械を破壊することで、電力インフラなどインフラを停止に追い込みます。

日本中の至るところに雷が落ちて、日本中で停電が起こるものだと想像してください。

高高度核爆発による電磁パルス攻撃イメージ

詳細は過去に記事にしておりますので、ご参照ください。

電磁パルス攻撃が非常にやっかいなのは人体にはただちに影響はありません。そのため、まだ国際的な規制はなく、例えば化学兵器や細菌兵器のような禁止条約もありません。しかし、電子機器や電子部品を破壊するため、設備に直接的な被害を及ぼし、インフラを破壊することによって、間接的に人体にも影響を与えていきます。

かつて米国議会EMP議員団が認定した国会・国土安全保障調査会のシナリオによると、10ktの核弾頭がニューヨークの上空135㎞で爆発した場合、死傷者は数百万人、インフラ被害は米国東部の全域、停電地帯からの避難民も数百万人、復旧まで数年かかり、経済的な影響は数兆米ドルと想定されています。

また、米国東部全体にわたって散在する原子炉、工場、製油所、パイプライン、燃料貯蓄所、その他工業施設の火災や爆発等による放射能と化学物質の脅威にさらされると想定されています。

こうしたシナリオを受けて、米国では2015年に重要インフラ保護法が制定され、EMP対策が進みました。

データセンターのシェルター化・耐EMP化が緊急の課題

耐EMPという点では、電力インフラなど、エネルギーインフラを守ることはもちろん重要ですが、それと並ぶレベルで重要なのはデータセンターです。

米国に限ったことではありませんが、データセンターの耐EMP化は世界中で進んでいます。そもそもデータセンター自体、海外では最近はシェルター化されている場合が多く、地下や山腹に設けられるケースが増えています。

データセンターをシェルター化することで、元々の造りを災害や攻撃に耐えられるようにしつつ、電磁パルスにも対抗できるようにしていこうというのが世界の趨勢です。翻って日本ではシェルター化も耐EMP化もまだ進んでいません。

先週の北朝鮮の軍事偵察衛星打ち上げで、日本の危険度は一段階高まりました。EMPは対策方法は確立されています。HEMPによるインフラの破壊が現実性を帯びる中で、重要インフラのシェルター化・耐EMP化を進めていく必要があります。

当然、今後日本で整備されていくであろう公共のシェルターも電磁パルスに対抗できる仕様にしていく必要があります。シェルターに逃げ込んで、非常用発電機や蓄電池が使えなかったら、シェルターの意味がありません。

目の前に危機が顕現した中、EMP対策は官民協力して取り組んでいくべき課題です。

日本核シェルター協会
事務局

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