スイス核シェルター訪問レポート~
高層マンションの地下駐車場が避難シェルター兼用
2023年10月10日
当協会のスイス特派員Hans Muller氏よりスイスの核シェルターの探訪レポートが届きました。ショッピングモールが付属する高層マンションの地下駐車場に、兼用で設置された避難シェルターです。( 関連記事:スイス核シェルター訪問レポート )
スイスでは地下駐車場の避難シェルター化は、学校の地下シェルターと並んで非常にポピュラーであり、地下駐車場のシェルター化に関する指針も設けられています(TWS1984の中に駐車場兼用シェルター規定がある)。
避難シェルター兼用地下駐車場はスイスでポピュラーなスタイル
今回紹介する核シェルターは、スプライテンバッハにあるショッピングモール付きの構想マンションに新築された、立体駐車場の地下部分にあります。地下2階に位置しており、平時は駐車場として使用しています。
地下駐車場シェルターを備えた構想マンション
ショッピングモール入口
駐車場からショッピングモールへの入口
一見普通の高層マンションに併設されたショッピングモールです。日本でも似たようなタイプのマンションがあるので、なんとなく身近に感じていただけることでしょう。
スイスではあらゆる建築物に核シェルターが設けられており、このショッピングモールの地下駐車場も有事の際は避難シェルターとして使用されます。
極めて普通の駐車場です
日本のショッピングモールでもよく見かける極めて普通の駐車場です。ちょうど地下2階に位置しますが、この駐車場が核シェルターになります。
駐車場入口にはスライディングタイプの防爆扉があります。
大型のスライディング防爆扉
奥に見えるのが防爆扉。よく見ると過圧防爆バルブもあり、奥にシェルターがあることがうかがえます。
防爆扉
非常用脱出口と非常用手動排水ポンプがあります。
実は駐車場の新築・拡大工事は完了しているが、まだシェルター部分の工事は終了していないようです。スライディング扉の向こう側がいわゆる「気密室(エアロック)」に相当し、そのさらに奥がシェルター個室のはずですが、そこまで立ち入ることはできなかったとのこと。
高層マンションの規模からすると、1000人規模のシェルターと推測できます。Hans Muller氏からは続報も送ってもらうことになっていますが、スイスではシェルターは身近にあります。
今回はショッピングモールを紹介しましたが、ホテルなどにも必ずあり、特に国際会議を行うようなホテルには必須のようです。また、駐車場のシェルター利用は非常にポピュラーで、高層マンションなどでは新築時に駐車場をシェルターとして使えるように予め設計がされています。