スイス核シェルター訪問レポート~
ショッピングモール付小型集合住宅にも避難シェルター
2023年10月27日
当協会のスイス特派員Hans Muller氏に買い物に出かけて避難シェルターを見かけたらレポートしてください、とお願いしたところ、Widen(ヴィーデン)州Berikon(ベリコン)のショッピングモールでシェルターを見た! との連絡が入りました。
スイスではあらゆる建物にシェルターが設けられていますが、今回は比較的コンパクトなショッピングモールのシェルターを紹介します。日本でも有事の際に国民が避難するための避難シェルターが検討されていますので、大変参考になるレポートだと思います。( 関連記事:スイス核シェルター訪問レポート )
スイスの日常に溶け込む避難シェルター
スーパーマーケット2軒、その他の商店6軒あまりのコンパクトなショッピングモールと、10世帯の小規模な住宅が一体となった建築物。スイスでは比較的よく見られるタイプのショッピングモール付小型集合住宅です。スーパーの裏側には6台収容できる救急車の基地があります。
地下に駐車場が設けられていますが、地下駐車場の入口付近に防爆扉が設けられています。
この扉の奥に核シェルターが設けられています。残念ながら、住人用なので、中に入ることはできませんでした。
この防爆扉はセルフレスキュータイプ。このセルフレスキュータイプとは、扉の前に瓦礫が堆積していた場合、35㎝までは扉を開けることができるように設えられた扉となります。有事でない場合は、通常の扉で閉じられていますが、こうした光景はスイスではよく見かけるそうです。
非常用脱出口は少し離れたところ、二輪車の駐輪場内にあります。
覗き込むとタラップがあるのがわかります。
スイスでは非常用脱出口はこのように地表すれすれのところに設けられています。非常用脱出口の立坑下部には砕石が敷かれていることが多く、それだけで水が浸透してしまうとのことです。
日本とは気候や土壌が異なるため、地表にグレーチングを設置できますが、日本で同じようにすると、非常用脱出口が水没してしまうため、当協会では非常用脱出口は日本の風土に合わせた構造にしています。
スイスでは至るところに核シェルターがあるため、非常に身近な存在過ぎて意識していないそうで、非常用脱出口があるのも見慣れた光景とのことです。今後もHans Muller氏からはレポートが送られてくる予定ですので、その都度紹介してまいります。