スイス核シェルター訪問レポート~
緑化された大型駐車場に設けられた避難シェルター
2023年11月8日
当協会のスイス特派員Hans Muller氏から、チューリッヒ市内の大型駐車場「ウラニア・パーキング」に設けられた、避難シェルターのレポートが届きましたのでご紹介します。
ウラニア・パーキングは観光地名所である『リンデンホフの丘』の近くにあり、周辺には市警察や建築局など行政の建物が並ぶエリアにあります。このような大型駐車場は、チューリッヒ市内には幾つかあるようで、こちらは地上が緑化され美しい景観が保たれています。
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人口に見合った大収容の避難シェルター
ビジネスや観光として様々な人々が行き交う都市の中心ということで、収容人数もかなり多いことは想像に難くありませんが、それは多数の防爆扉や過圧防爆弁があちこちに設置されていることからも裏付けられます。
こちらのシェルターは建築デザインに合わせたカラーリングで仕上げられている点も目を惹きます。それでは細かいところを見ていきましょう。
ウラニア・パーキング入口:景観に溶け込む核シェルター設備。
チューリッヒ民間防衛隊による表示板:「公共核シェルター及びファースト・エイドステーション」※ファースト・エイドは、心停止への対応を含まない応急処置のこと
地下駐車場の4Fエリア:一見すると普通の駐車場。
いくつもの耐圧扉が確認できます。
備品その他の保管庫への入口と思われます。
ここの耐圧扉は観音開き:移動式の踏板に注目。踏板のサイズから自動車あるいはかなり大型の車両が使われていると推測されます。
過圧防爆弁:8個もあるのでかなりの大きさの保管庫と推定されます。
建築デザインに適したカラーリングも目を惹きます。過圧防爆弁の数も15個と規模の大きさを物語ります。
こちらは契約者駐車場入り口:右の見える表示板は公共の核シェルターと物資保管庫を示しています。
核シェルターの上は静寂な公園
日本でも都会の屋上などを利用して緑化する取り組みは行われていますし、今後もますます進んでいくのではないかと思います。しかし、その緑化された建造物の下に市民を守るための避難シェルターが設けられているというのは、環境意識と民間防衛の意識が高い、さすがのスイスと感嘆いたします。
核シェルターの上はのどかな公園。
公園の片隅には非常脱出口がありました。
『リンデンホフの丘』の麓にも核シェルターの入口がありました。
いかがでしたでしょうか?これらの写真に写る光景は、日本の都市はもちろん地方にあてはめても、馴染むことができるものだと感じます。今、住民避難シェルターの整備が政府・自治体によって検討されていますが、スイスに見るこの光景は大変参考になるものだと思います。
まずは一歩一歩。私たち日本核シェルター協会も多くの方と協力して、やるべきことを進めていきます。