日本初の核シェルター建設基準

日本核シェルター協会が核シェルター建築時の基準を策定! あわせて新規会員の募集を開始!

2023年1月6日

特定非営利活動法人日本核シェルター協会(本部:兵庫県神戸市/理事長 織部信子)は核シェルターを建設する際の基準を策定しました。今月からその基準を会員向けに公開します。あわせて、新規会員の募集を本日より開始します。また、3月末には建設指針をまとめた教科書を発行し、会員に配布します。

爆風、熱線、初期放射線、残留放射線を防ぐ基準

日本ではなじみの薄い核シェルターですが、海外では普及しています。たとえばスイスやイスラエルはほぼ100%という普及率になります。それに対して日本では核シェルターはほとんど普及していません。また建設する際の基準がありません。しかし、緊迫する東アジア情勢やロシアのウクライナ侵攻を受けまして、核シェルターを造りたい方、核シェルターを整備したいという自治体は増えてきており、当協会にはこうした声が多数届いています。そこで、当協会では核シェルターを建設するための基準を作成しました。

日本には、どのように核シェルターを作ればよいのかという建築時の基準がないため、「核シェルターを造りたい」という要望が出ても、建築士も建設会社も対応することができないケースが一般的です。仮に対応したとしても不完全な知識のままで建築してしまうため、非常時に意味をなさない建築物を造成してしまうケースが非常に多く見られます。また、最近では放射性物質を除去する換気装置を取り付けただけで核シェルターと称する不可解なケースや、金属製の頑丈な物置のようなものを地上に置いて核シェルターと称する不思議な商品が出てきています※1

本来、核シェルターと称するには、核爆発から生じる爆風(衝撃波)・熱線・初期放射線・残留放射線(誘導放射線と放射性降下物)の4種の影響から命を守る構造が必要です。たとえば、1Mtクラスの核兵器が高度6500フィート(約2km)で爆発した場合、半径13,900フィート(約4.2㎞)以内のほとんどの建築物は爆風だけで崩壊し、半径55700フィート(約17㎞)以内は住めなくなる程度に家屋が爆風だけで崩壊すると想定されています※2。たとえ命を守ることはできても、眼球崩壊や鼓膜損傷、肺や腸などの内臓破裂などの重傷が生じます。

さらに熱線や放射線の影響を考えると、被害は甚大です。熱線によって皮膚の再生が不可能な熱傷が生じ、熱線から生じる閃光により網膜を損傷し、失明します。また、日本には木造建築物や燃料を積んだ自動車が多いので、火災が広範囲に発生し、都市であれば火事嵐(火災旋風)という炎の竜巻が生じます。放射線による寿命短縮、がんや白血病の発症など健康被害を考えると、人体への影響は計り知れません。

核シェルター建設にはこの4種類の影響を防ぐ仕様が求められています。また、核シェルター建設に必要な条件を満たせば、通常兵器や細菌兵器、化学兵器による攻撃にも耐えることができ、さらに地震や火山の噴火、原子力発電所の事故にも対抗できます。

核シェルター建設時の標準的な規格

既に1960年代に核シェルター建設の指針が定められたスイスでは、建設時に基準が設けられています。土が何㎜被っていれば、どの程度のコンクリート厚が必要など、その基準は詳細です。当協会では海外の基準を参照し、さらに長年核シェルター建設に携わってきた会員企業のノウハウを基にして、建設時の標準的な規格を設けました。

爆風による過圧から防御するにはどうすればよいのか、あるいは人体にとって恐ろしい被害を及ぼす中性子※3の影響を防ぐにはどの程度のコンクリート厚が必要なのかなど、床・壁・天井に必要なコンクリート厚などの基本構造から、一人あたりに必要な容積、核シェルター内に必要な空間である「進入路・除染室・気密室・シェルター個室・非常脱出口」の適切な配置、防爆扉の配置、さらには換気設備の配置や配管埋設時の注意事項まで、核シェルターづくりのための規格・指針を会員向けに提示いたします。

3月末にはこの基準をまとめた『核シェルター建設指針~基本設計編』を発行し、4月以降、このテキストをもとにして、会員向けの勉強会を開催する予定です。また同時に、規格に準じてしっかりと建設された核シェルターには、当協会として認証する制度もスタートします。認証する核シェルターの種別は表1のとおりです。この種別それぞれに構造上の基準を設けています。

あわせて、本日から新規会員の募集も開始します。東アジアに緊張が迫り、日本をめぐる環境がもはや平和とはいえなくなってしまった今、当協会は命を守るための核シェルターの普及に努めると同時に、核爆発の被害から防御できる核シェルターに必要な諸条件を会員に共有し、民間防衛の一翼を担います。

表1

核シェルターの種別 概要
完全独立型核シェルター 耐1気圧 天井面が地表面以下、1気圧に耐えられる。
建物併設型核シェルター 耐1気圧 シェルター上部に建物がある場合、1気圧に耐えられる。
一部地上型(LT)核シェルター 耐1気圧 天井面・壁面が地表面上(屋根スラブの下面が地表より600㎜未満)。1気圧に耐えられる。
一部地上型(OM)核シェルター 耐1気圧 天井面・壁面が地表面上(屋根スラブの下面が地表より600㎜以上)。1気圧に耐えられる。

※当協会は床面が地表面以上の建築物を核シェルターとしては認定しません。

※1放射性物質を除去する換気装置では放射性降下物しか防ぐことはできず、隙間があると換気装置を導入しても意味がありません。また、金属では中性子を防ぐことはできません。中性子は水素を多く含む物質で吸収できるので、厚いコンクリートで防ぎます。

※2平成25年度外務省委託「核兵器使用の多方面における影響に関する調査研究」が想定した爆風の過圧による影響を、日本火薬学会の化学物質の爆発安全情報データベース「爆風による被害 (Clancey)」にしたがって算出すると、1Mtクラスの核兵器が高度6,500フィート(1,981m)で爆発した場合、半径13,900フィート(約4.2㎞)以内の爆風の最大過圧は10PSI=68.95kPaとなるので、ほとんどの建築物は崩壊します。また、半径55700フィート(約17㎞)以内の最大過圧は1PSI=6.89 kPaとなり、住めなくなる程度に家屋が崩壊する6.9 kPaの近似値として算出しています。なお、過圧を風速に変換すると、6.9kPaが風速約106m/s、68.9kPaが風速約335m/sとなります(標準大気1.225kg/㎡で算出)。戦後最大とされる1966年の宮古島を襲った台風の最大瞬間風速が85.3m/sです。人体への影響では、304kPa=3気圧で眼球破壊、98kPa=1気圧で鼓膜損傷や無気肺、皮下出血となりますが、これは1次的要因のみであり、瓦礫や破片による被害(2次的要因)、吹き飛ばされて硬いものに当たる被害(3次的要因)、粉塵による呼吸器官の損傷(4次的要因)も生じます。なお、2次的要因である瓦礫や破片が飛んでくる速度は拳銃やライフルの銃弾よりも速いので、銃撃以上の衝撃を人体に与えます。

※3放射線のうち人体に甚大な被害を及ぼすのは中性子です。中性子は電荷をもたないため透過力が高く、また電離密度が高いため、細胞の構成分子を破壊します。IRCP Publicationによると、金属で止めることができるγ(ガンマ)線に比べて、腫瘍誘発は約3~200倍、寿命短縮は15~45倍、染色体異常は40~50倍なので、外部被ばくを防ぐには中性子の影響を低減させる必要があり、核シェルターの建設でも重点を置く必要があります。

特定非営利活動法人 日本核シェルター協会

2003年に発足した核シェルターの普及を目的としたNPO法人です。

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