スイスの核シェルター、平時利用はライブハウス!?

2023年7月26日

核シェルターの平時利用

昨日の当協会のニュース「スイス連邦アルガウ州民間保護組織(Civil Protection)取材 第3回」で読んだ方からツッコミが入りましたので、本日は趣向を変えて、スイスの核シェルターの平時利用をお伝えします。

昨日のニュースで「平和時にはライブハウスやスポーツ教室として使われているシェルターからギターアンプやドラムセット、ランニングマシンなどを運び出すことになります。」と記しました。

この「平和時にはライブハウス」に「ホンマかいな!」という至極まっとうなツッコミが入りましたが、本当です。証拠写真もあります。

スイスの小学校の核シェルター 音楽室として

こちらは小学校の地下に設けられた核シェルター内の写真です。当協会で視察に行った際、階段を降りて、気密室(エアロック)を抜けて、除染室に入ると既にギターアンプやらマイクがありました。

最初は何がなんやらよくわかりませんでしたが、シェルター個室に入るとそこにはライブハウスが広がっていました。画像をよく見ていただくと、NBCR対応の換気装置と非常用脱出口が見えると思います。

ガイドによると、地元の方に貸出料をとって、スタジオやライブハウスとして貸し出しているとのこと。

そういえばスイスは音楽大国でした!

たしかに、耐1バールの分厚いコンクリートで覆われた核シェルター、防音対策はバッチリです。

分厚いコンクリートの扉

分厚いコンクリートのハコですから。

少しマニアックな話をすると、音は空気伝播音と固体伝播音のふたつにわけられますが、開口部がそもそもほぼない気密性の高い空間なので、空気伝播音はまったく問題ありません。固体伝播音の可能性はありますが、内装で床壁と縁をきれば、固体伝播音も問題ありません。

内装をして吸音材を詰めれば反響も防ぐことができ、音環境は良くなるはずです。日本仕様にするならば、ヤマハの調音パネルを置けば、音環境はもっと良くなるはずです。

話を戻しますと、スイスではこうした平時利用は各地で行われているとのことです。そういわれてみると、スイスは世界で最も多くの音楽祭が開催されている国であり、クラシックから、ジャズ、ロック、テクノ、ハウスまで、音楽が非常に盛んです。核シェルターだけでなく音楽でも先進国だったわけです。

もちろん、音楽スタジオやライブハウスだけでなく、スポーツクラブ(教室)やダンススタジオとして使用されているケースもあるそうです。

それでも5日間ルールがある!

スイスの公共のシェルターは各州政府の基金をもとに建設しています。各州政府の基金は、自宅にシェルターがない人が公共のシェルターを割り当ててもらうために支払う費用が基になっております。

建設されたシェルターは各自治体が運営しますが、自治体ごとに平時の利用というものを考えているそうです。貸し出すことで少しでもコストを回収したいという自治体の想いが見てとれます。かつてはシェルターには余計なモノは入れないように法令で定められていましたが、冷戦後に緩められたそうです。

また、冷戦中であっても平時は駐車場、有事はシェルターという場所もあり、たとえばTWS1982というスイスの指針には駐車場のシェルター化などについて定められています。ただし、昨日のニュースに記したとおり、スイスでは5日間ルールというものが定められているので、非常事態宣言が出されたら5日以内に余計なモノ(シェルターとして必要ないもの)は運び出すことを推奨されています。

昨年のロシアのウクライナ侵攻を受けて、5日間をより短くする方向で現在検討中とのことですが、個人住宅の核シェルターで平時にオーディオルームとして使用していて、JBLのパラゴンみたいなスピーカーを入れていたらどうやって出すのだろう? など、想像を巡らせてしまいました。

日本核シェルター協会
事務局

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