核シェルター建設 失敗例6選 – 気を付けるポイントを解説!

2023年9月20日

核シェルターは戦争や紛争といった人的災害だけでなく、地震や風害といった自然災害にも有効な防災シェルターでもあり、私たちの安全を守るために不可欠な設備です。世界の国々はこのシェルター整備を着々と進めており、日本は大きく後れを取っているのが現状ですが、昨今ようやく日本政府もシェルター整備の検討を始めました。

個人としてもロシアのウクライナ侵攻もあり、家庭用の核シェルター建設に興味を持つ人が増え、当協会への問い合わせも急増しています。それはそれで良い流れだとは考えますが、一方で当協会としては、やはり「正しい」核シェルターの普及を目指すところであり、粗悪なシェルターが蔓延することを懸念しています。

そこで今回の記事では、核シェルター建設における失敗例、気を付けるポイント6選を紹介しますので、取り返しのつかないような核シェルターを建設することがないように参考にしていただければと思います。

また、YouTube動画でも説明していますので、こちらもご覧ください。

1. 防爆扉取付は一発勝負

核シェルターには爆撃による爆風や熱風に耐えるための防爆扉が必要ですが、これは極めて重要な設備です。この防爆扉は厚さが200mmあり、重さは1トンにも達します。この重厚な防爆扉を取り付けるプロセスは一発勝負です。というのも、取り付けの際に水平垂直を正確に保たないと、後で扉が正しく閉まらない可能性があるためです。

スイスの事例では、1970年代に2万人収容の大規模な核シェルターを建設しましたが、防爆扉が完全に閉まらなかったために気密性が取れず、シェルターの収容人数を2千人に減らすことを余儀なくされました。

一度失敗してしまうと、周囲を取り壊してやり直す必要があり、余計な費用が掛かることはもちろん、その耐久性にも影響を及ぼすことになります。この防爆扉の取り付けには経験と技術を要しますので、慎重に行う必要があります。

核シェルターモデルルームの防爆扉

当協会核シェルターモデルルームの防爆扉。

2. 結露だらけのシェルター

核シェルター内部における結露は、建設時に考慮すべき重要な問題です。特に日本のような湿度の高い気候では、結露が壁に付着し、設備や電気系統に損傷を与える可能性があります。

結露を防ぐためには、適切な空間設計とエアロック(前室)の設置が必要です。そもそもスイスの基準では、シェルターの外と内部では圧力差が生じるため、その圧力差を緩和するような空間としてエアロックを設けることを推奨しています。

日本ではこのエアロックが結露を防ぐ役割も果たします。国内の事例になりますが、このエアロックを設けずにいきなり防爆ドアを取り付けた施主さまがおり、その地域は昼と夜の気温差が激しいこともあって、結露で室内がビジャビジャになり電気系統も壊れてしまったという話があります。

3. 逃げられないシェルター

核シェルター内には通常の進入路とは別に、非常用の脱出口を設ける必要があります。なぜなら、爆撃や地震などの衝撃により地上の建造物が崩壊し瓦礫が堆積して、進入路からは脱出ができなくなる可能性があるためです。

そのため、非常用脱出口は瓦礫が堆積しない安全な所に設けるという原則があります。これについては、建造物の位置や周辺環境も影響するため、やはり正しい核シェルター建設の経験がある設計士や建設会社に依頼することが大事になります。

核シェルターモデルルームの非常脱出口

当協会核シェルターモデルルームの非常脱出口。

4. 爆風に耐えられない

核シェルターというとやはり分厚いコンクリートの箱で爆風を防ぐイメージがありますよね。もちろんその通りではあるのですが、そこにばかり目が行きがちで意外と見逃しがちなのが、換気装置や排気に使われる「スリーブ(筒状の管)」の存在です。

爆撃を受けた際に起こる爆風や熱風は、こういったスリーブからも入ってきます。それを防ぐための性能を備えた防爆用のスリーブというのがあるのです。核シェルターは構造だけではなく、こういった細かいところも気を付ける必要があるのです。

5. 配管が命取り

これは前述の「スリーブ」と同じなのですが、電力などを取り入れる配管にも気を付けなければいけません。通常ですとCD管やPF管と呼ばれる合成樹脂で作られた管を使用しますが、これらを核シェルターで使えば熱風等で溶けてしまいます。

この配管についても防爆用の配管がありますので、そういった知識と手配が可能な建設会社に依頼することが大事になります。

核シェルター用のスリーブ

核シェルター用のスリーブ

6. バルブも命取り

これもスリーブや配管と問題点は同じなのですが大変重要です。空気を取り込むところや抜けていくところからも、爆撃の際に爆風や熱風が入ってきては意味がありません。こちらも防爆用のバルブが存在し、このバルブが秀逸な点は、外から爆風が吹いてきた際には必ず閉じる機能を備えているところです。

バルブにもこういった機能fがなければ、せっかく逃げ込んだとしても命を落とすようなことになりますので、必ず気をつけなければいけない点です。

まとめ

これまで説明してきた通り、核シェルターの建設には高度な専門知識と経験が必要です。失敗すれば取り返しのつかないことになり、安全性を脅かす可能性がありますので、やはり信頼できる設計事務所や建設会社に依頼することが重要です。

日本核シェルター協会の会員は、核シェルター建設における専門知識と経験を持っており、正しい核シェルター、防災シェルターの建設をサポートできます。ご検討される際はまずは当協会へご相談ください。

日本核シェルター協会
事務局

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