ポーランド・ポズナン工科大学のPiotr Sielicki教授が核シェルターモデルルームを視察
熱心に展示物を見学するPiotr Sielicki教授
2025年7月、ポーランドのシェルター研究の第一人者であるポズナン工科大学の Piotr Sielicki教授が、当協会の核シェルターモデルルームを視察されましたのでご報告します。
Piotr Sielicki教授は兵庫県神戸市で開催された国際学会「COMPSAFE 2025(Computational Engineering and Science for Safety and Environmental Problems)」に出席するために来日されました。
COMPSAFE 2025は、災害リスクの軽減や構造物の破壊メカニズム、安全性評価、さらには環境課題などを主要テーマに、計算工学および計算科学の先端を担う世界各国の研究者・技術者が一堂に会する国際的な学術会議です。今回はその合間を縫ってのご来訪となりました。
ポーランドでも進む核シェルター整備
Piotr Sielicki教授は土木工学の専門家で、地下構造物の耐爆性・耐震性評価に関する研究では国際的にも高く評価されています。そして、現在ポーランド国内で進められているシェルター整備にも深く関与しており、同国政府と連携しながら技術的な立場でシェルター設計の標準化に取り組んでいます。
ロシアによるウクライナ侵攻以降、欧州ではシェルター整備に関する動きが活発化しており、ポーランドも例外ではなく、国家的な課題として位置づけられています。ポーランドは冷戦時代、特に1970年代から1980年代にかけて建設された核シェルターが首都ワルシャワを中心に残っています。しかし、その多くは老朽化が進み、想定される性能や機能を十分に満たしていないものが大半を占めているようです。
そのため、ポーランド政府は既存シェルターの再評価・改修と並行して、新たな設計基準に基づく近代的なシェルターの整備に着手しており、Piotr Sielicki教授のような専門家がその中心的な役割を担っています。
期待されるポーランドと日本の連携
Piotr Sielicki教授は、日本のメーカーが開発したシェルター設備やその技術にも触れ、日本の高精度な加工技術に深い関心を示され、ポーランドにおいても導入を検討したいとコメントしていました。
Piotr Sielicki教授は、ポーランドにある爆発実験施設を活用し、継続的に耐衝撃性能に関する試験を実施しており、耐衝撃性能の実証データも豊富に蓄積されていることでしょう。このことは、日本国内では限られる実証機会を補完する上でも、日本側のシェルター開発にとって大きな意味を持つ可能性があります。
最後に
ポーランドと日本では、これまでの歴史や地政学的な背景、災害リスクといった置かれている環境に違いはあるものの、「国民の命を守る」という共通の目的に向けた技術開発の重要性は変わりません。今回の来日をきっかけに、両国の知見や技術を活かした相互交流・協力が進み、より実効性の高いシェルター整備に向けた取り組みが広がっていくことを期待します。


