【日本核シェルター協会声明】原爆の日を迎えて・・・被爆から80年、誓いと責任

2025年原爆の日を迎えて

本日8月6日、広島に原子爆弾が投下されてから80年を迎え、8月9日には長崎への投下の日を迎えます。戦後の大きな節目の年となる今年、私たちは戦争の悲劇と痛みを深く刻み、平和の尊さを改めて胸に刻みます。

あの日、一瞬にして多くの尊い命が奪われ、その後も放射線被害に苦しみ続ける被爆者の方々の苦難は、今もなお終わっていません。私たちは、その深い悲しみと痛みを決して忘れてはなりません。亡くなった方々には心より哀悼の意を捧げます。そして、後遺症で苦しむ方々には、心からのお見舞いを申し上げます。

本日行われた平和記念式典において、石破首相は「核戦争のない世界」、そして「核兵器のない世界」の実現と、恒久平和の実現に向けて力を尽くすことを誓いました。私たち日本核シェルター協会も、この誓いを同じくし、核兵器廃絶と恒久平和の実現を強く訴えます。

しかしながら、現在の国際情勢は極めて厳しい状況が続いており、緊張の高まりと不安定さが増すばかりです。平和への道のりは依然として険しく、私たちはその行方に深い懸念を抱かざるを得ません。

ロシアの核ドクトリン改定とウクライナの現実

今年2月、弊協会ではウクライナの首都キーウを視察しました。滞在中、幾度も空襲警報が鳴り響き、その数分後には爆発音で地面が揺れ動く。戦争が今もなお繰り返されている現実を肌で感じたばかりです。

ウクライナ侵攻以降、ロシアからは核の使用を示唆する発言が相次ぎ、世界に強い緊張をもたらしています。ロシア側はこれを「核抑止の一環」と説明していますが、昨年末、核兵器の使用基準を定める「核ドクトリン」の改定を実施し、使用条件の引き下げが行われたと報じられています。

いずれにしても、いまだに「核兵器の使用可能性」が現実の議題として存在しているということです。私たちは、この理想と現実の乖離を直視しなければなりません。

スイスはなぜシェルターを備えたのか

さらに今年5月、弊協会は会員とともにスイスの核シェルター視察を行いました。スイスの核シェルター普及率は100%を超えていますが、この普及の背景にあるのは、制度の構築に加え、「教育」や「国民意識」といった社会の基盤となる価値観や仕組みによって支えられているという事実です。

スイスでは1951年に「民間人保護のためのシェルター法」が施行され、新築の建造物にはシェルターの設置が義務づけられました。これは第二次世界大戦中、スイスが中立国であったにもかかわらず、連合軍による誤爆を受けたという経験があり、これが国を挙げての備えの原点となりました。まさに、過去の経験から学び取った結果なのです。

欧州はすでに備えに向けて動き出している

現在、欧州では「危機に備えること」が国家戦略の中心に置かれています。今年3月、EUは「欧州危機対応連合戦略」と題した共同声明を発表し、民間防衛政策の強化に乗り出しました。これに連動する形で、ドイツ連邦政府は100万人規模のシェルター整備計画を発表しています。

周辺地域における軍事的な対立が高まる中、国民の生命と生活をどう守るのかという視点から、軍だけでなく市民の意識にも働きかけ、国民保護の再構築が始まっているのです。

80年の節目に問われるもの

現在、日本政府は国民保護の観点からシェルター整備に本格的に着手しており、弊協会としても関係各所と連携しながら、これに協力を続けてまいりました。いまだ多くの課題がありますが、この歩みは決して止めてはなりません。

原爆の日を迎えるたび、私たちは核による同じ悲劇を招かぬよう誓います。その一方で、私たちは未来に起こり得る危機に対して、現実的な備えを行う責任があると考えます。

平和を願うことと、現実に備えることは決して矛盾するものではありません。80年の節目を迎え、改めてこのことを直視し、次の世代の平和を守るために、日本核シェルター協会は行動し続けます。

日本核シェルター協会
理事長 池田 時浩

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