「シェルター(堅固な避難施設)および地下利用促進議員連盟」第12回総会にてスイス核シェルター視察を報告

シェルター議員連盟の代表 古屋圭司衆議院議員(中央)、幹事長 片山さつき参議院議員(左)、事務局長 佐々木紀衆議院議員(右)
6月4日、衆議院第二議員会館にて「シェルター(堅固な避難施設)および地下利用促進議員連盟」(以下、シェルター議連)の第12回総会が開催されたのでご報告いたします。今回の総会では、出席された内閣官房や関係省庁、民間企業それぞれの立場から、シェルター整備に関する進捗や課題が共有されました。当協会からは先般行われたスイス核シェルター視察を中心に報告いたしました。
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先島諸島におけるシェルター整備の進捗
まずは内閣官房より、先島諸島におけるシェルター整備の現状について報告がありました。各市町村で進捗状況に差はあるものの、すでに基本設計を終えた自治体もあり、早ければ本年度中にも工事が着工される見込みです。こうした動きからも、シェルター整備が着実に前進していることがうかがえます。
また、海外の避難施設普及状況に関する調査結果についての説明がなされ、今後はアメリカの事例を深掘りしていく方針が示されました。アメリカでは連邦レベル、州自治体レベル、そして企業レベルでどのような取り組みがなされているのか、特にEMP(電磁パルス)対策に関する調査は重要になりますので、今後の調査結果に注目していきたいと思います。
当協会の活動による情報共有
視察報告の前に当協会理事長により、日頃の活動を通じて得られた国内外のシェルター関連の最新動向について、情報共有を行いました。中でも、シェルター設備の国産化に向けて国内メーカーが研究開発に尽力している現状を共有し、その意義を改めて強調。さらに、国の予算だけでは整備が限定的になる可能性を鑑み、民間による投資促進の仕組みづくりが不可欠であることを改めてお伝えしました。
スイス核シェルター視察報告
続いて、務台俊介理事(元衆議院議員)より、当協会が主催したスイス核シェルター視察についての詳細な報告が行われました。視察では、核シェルターの現場だけでなく、シェルター関連の研究所や検査機関、さらに実際に製造・設計に携わる民間企業にも訪問。スイスでは、人口を上回る核シェルターの収容能力を持つだけでなく、法制度・運用システムが極めて体系的に整備されており、それについて現地で具体的に確認できたことを報告しました。
さらに、スイスの高度な基準を参考にしつつ、日本の置かれた状況を踏まえた独自の基準づくりの必要性も伝えられました。また、ご自身の政治経験から、シェルター整備を推進する上で法制化が不可欠である点についても強調されました。

シェルター視察を報告する務台俊介理事
また、この日出席され、視察にも参加された当協会の奈良林直 顧問(東京科学大学特定教授、北海道大学名誉教授)からは、EMP対策や防爆バルブなどに関する実験施設の視察に基づき、より技術的な観点から報告がありました。あわせて、こうした高度な実験施設についても、将来的には国内で完結できる体制の構築が重要であるとの見解が示されました。

技術的な観点から報告された奈良林直顧問
総理への提言に向けて
総会の最後には、シェルター議連会長である古屋圭司 衆議院議員より今後、法整備等も議論していくにあたり、行政・政府側の負担も増える事も考慮し、立法府側からの提案としても、人員強化等も含め提言に盛り込む事が指摘されました。また、シェルターの平時活用の意義についても「平時活用・有事機能発揮」という表現で改めて強調されました。
そして、シェルター議員連盟事務局長である佐々木紀衆議院議員から、今回での議論を踏まえ、6月11日に総理大臣への提言書を提出する事が報告されました。提出がされましたら、詳細を含め当サイトでご報告いたします。
最後に
先日ご報告した通り、今回の総会にて務台俊介理事が、古屋圭司議連会長の指名により、シェルター議連のアドバイザーに就任されました。これにより、当協会と議連との連携が一層強化され、シェルター整備推進が加速されることが期待されます。
当協会としては、引き続きシェルター議連をはじめ関係各所と連携しながら、日本のシェルター整備推進に貢献してまいります。