当協会の会員である株式会社イトーキの代表取締役会⻑・山田匡通氏が核シェルターモデルルームを見学
核シェルターモデルルームを見学された株式会社イトーキの皆様
当協会会員であり、地下シェルター向け特殊扉を開発した株式会社イトーキの代表取締役会長・山田匡通氏が、核シェルター視察のため来訪されました。当協会のモデルルームには既に同社が開発した特殊扉が展示されており、山田氏はその展示状況についても視察されました。
海外からも注目される日本製の地下シェルター設備
同社が開発した地下シェルター向け特殊扉「BOUNCEBACK(バウンスバック)」は海外からも注目を集めています。当協会のモデルルームには、来日した各国のシェルター関連企業や団体の関係者が見学に訪れており、日本のシェルター設備が持つ高い技術力に強い関心が寄せられています。中でも、同社の特殊扉はその象徴的な存在といえます。
これまでも述べてきたとおり、シェルター関連設備は安全保障の観点から国産化が求められます。現在、日本政府は台湾有事を想定したシェルター整備に着手していますが、諸外国に比べて整備は遅れており、本格化はこれからという段階です。こうした状況を背景に、国内の民間企業においてもシェルター設備の開発が進められています。ただし、こうした開発は決して一朝一夕に得られるものではなく、各企業がこれまで積み重ねてきた技術の研鑽と研究開発の成果・経験の蓄積によって支えられています。
株式会社イトーキは一般的にはオフィス家具メーカーとして知られていますが、実は1890年の創業時より金庫の販売を手がけ、その後、金庫室用扉や特殊扉の開発、製造、販売に至り、長年にわたり技術と知見を蓄積してきました。その歴史的背景と高度な技術力が、こうした高性能な製品の早期実現を可能にしているのです。
マルチ防災シェルター扉「BOUNCEBACK」の特徴
当協会のモデルルームに展示されている「BOUNCEBACK」
続いて、「BOUNCEBACK(バウンスバック)」の性能をご紹介します。防爆扉に求められる基本的な性能は、大きく分けて耐衝撃性と放射線遮蔽性の二つです。「BOUNCEBACK」は、この両方の性能を有するだけでなく、さらに気密性・水密性も兼ね備えている点が特徴です。
有事における運用面にも配慮がなされています。有事に際しては、避難者の特徴や状況が多様であることが想定されます。「BOUNCEBACK」は質量約1,400kgという非常に重厚な扉ですが、同社の高度な技術力により開発された高性能ヒンジと精密な据付によって、高齢者や女性、子供であっても容易に開閉が可能です。
また、手や指を巻き込まないように考慮された安全カバーに加え、足元においても靴先の侵入を防ぐ床面クリアランスを採用。怪我などの2次災害を避けるために、操作性や安全性が追求されています。
(外部リンク:株式会社イトーキ プレスリリース「イトーキ、防災・防衛等を想定した、手動で開閉可能な約1400kgの地下シェルター向け特殊扉を開発し、日本核シェルター協会モデルルームに設置」)
精神面の配慮も欠かさない
「BOUNCEBACK」は、物理的な性能だけでなく、避難者の精神面にも配慮がされています。扉の裏面には日の丸とともに「みんなで力を合わせて困難を乗り越えよう」というメッセージが22カ国の言語で表記され、避難者同士の協力といたわりを促しつつ、日本にいる外国人にも配慮しています。
BOUNCEBACKの開閉を確認する株式会社イトーキ 代表取締役会長の山田氏
今回新たに展示用の壁紙が設置されましたが、そこには「マインドフィットネスゾーン」が描かれていました。実は代表取締役会長の山田氏は、禅の第一人者でもあります。これは実際に同社のオフィスでマインドフルネス(瞑想)を行えるスペースとして設けられているものです。当協会の事務局でも見学させていただきましたが、同社のオフィスは、まるでカフェやホテルを思わせるほど洗練された空間でした。そして外観の美しさだけでなく、非常に先進的な業務・運営の取り組みが行われているのです。
株式会社イトーキ:【ドローン撮影】イトーキ本社オフィスを飛行(2025ver.)
それはABW(Activity Based Working)と呼ばれるもので、これは社員がその活動に応じて、最も生産性が高く働ける場所、時間、相手をワーカー自らが選択するという働き方のことです。同社はそのためのオフィスの設計から施工・運用まで、一貫したサービスを提供しており、自社においてもその取り組みが行われています。
ABWは業務効率の向上や従業員満足度の向上に効果があることが実証されています。この先進的な取り組みは同社の企業理念に基づくものであり、それは「人」を中心に据えた思考とも言えます。その理念は「BOUNCEBACK」に見られる、多岐にわたる「人への配慮」としても具現化されているといえるでしょう。
企業との連携でシェルター整備は進化・加速する
今回の見学には山田会長をはじめ役員の方々も参加されました。当協会としては、シェルター普及の意義やそのための活動を共有する貴重な機会となりました。
シェルター設備の国産化においては、技術力の確保はもちろん重要ですが、実際に避難生活を送る人々の心理的な快適性も考慮した総合的な価値の追求が不可欠です。そのため、同社のように「人」に着目した取り組みを行う企業との連携は、シェルターの普及と進化において重要な鍵になると確信しています。


