シェルター設備となるCBRNE対応換気装置の個人宅への導入事例

今回国内の個人宅に設置されたCBRNE対応の換気装置
核シェルターに求められる設備として欠かせないのがCBRNE(シーバーン)に対応した換気装置です。CBRNEとは、化学(Chemical)、生物(Biological)、放射性物質(Radiological)、核(Nuclear)、爆発物(Explosive)の頭文字を取った言葉で、これらの有害物質を除去する機能を持った換気装置は、核シェルターの心臓部と言える重要な設備なのです。
今回は、このCBRNE対応換気装置を、マンションや個人宅の1室に設置を希望された顧客の事例をご紹介します。
核シェルターとフォールアウトシェルターの違い
具体的な事例を紹介する前に、ひと言に核シェルターといっても、実は構造や設備によって防御できる範囲が異なるため、必ずしも皆さんが想像している性能を有しているとは限りません。ここでは簡単にその種類と性能を紹介します。
核シェルター
いわゆる核シェルターは、堅牢な鉄筋コンクリート構造となり、基本的に地下空間に建設されます。そのため、高い防爆性能や高い放射線遮蔽性能を有しています。室内は気密性が高く、CBRNE対応換気装置が設置されています。
フォールアウトシェルター
一方で核シェルターといっても防爆性能や放射線遮蔽性能は重視せず、大気中に降り注ぐ放射性降下物から身を守る事を目的としたフォールアウトシェルターと呼ばれるタイプがあります。爆撃や初期放射線への防御性能が低いため、比較的爆心地から離れたエリアで有効とされています。フォールアウトシェルターも気密性が高く、CBRNE対応換気装置が設置されます。
今回ご紹介する事例は、一般的な構造の住宅にCBRNE対応換気装置を設置するということから、このフォールアウトシェルターに近い効果が得られる事例と言えます。
既存住宅ならではの問題
今回の事例で依頼主が導入を決断したきっかけは、放射性物質や化学物質といった有事への備えだけでなく、PM2.5などによる大気汚染や、火山活動によって広範囲に飛散する火山灰による健康被害への不安でした。そこで、個人宅の規模に適したスイス・Andair AG社製の換気装置「VA-40」の設置を採用。これにより、高性能フィルターを通して清浄な空気を取り込み、家族の健康を守る装置として、その性能を発揮します。
設置する上で問題なのが吸気口の位置です。通常は建物の設計段階で計画する必要があり、壁内部に防爆バルブや配管を組み込む設計が前提となります。今回の工事では、既存の吸気口を利用する形で行われました。

マンションの一室にある既存の吸気口(室内側)

室外側の吸気口
そのため、吸気口の位置や寸法があらかじめ決まっており、そこに合わせてダクト経路やVA-40本体の配置を微調整する必要があります。

一次フィルターとモーターの取り付け完了
今回は、既存構造を生かしつつ性能を最大限に引き出すため、緻密な調整を経て、見た目にも違和感のない形での設置が実現しています。

モーターとガスフィルターを接続
現実的な形で実現するシェルター
今回は依頼主が所有するマンションのほか、ご家族が所有する戸建住宅にも、同様の換気装置が導入されました。設置したのは既存の住宅でしたが、新築の戸建住宅の場合は、吸気口やダクト経路の自由度が高く、設計段階から設置を検討することで、最適な設置が可能です。また、シェルターは気密性の確保が重要となるため、その点も十分に考慮した施工が可能となります。
現在、政府によるシェルター整備が進められる一方で、民間からも設置の要望が高まっています。本事例は、個人が本格的なシェルターの購入や設置が難しい現状がある中で、住宅環境に合わせた現実的な形でのシェルターを実現した事例と言えます。
すべての国民が安心して暮らせる避難環境を整備する上では、こうした事例も一つの参考として生かしていくことが重要となるでしょう。


