ウクライナとフィンランドが民間防衛シェルター連合の結成に合意

引用元:ウクライナ ゼレンスキー大統領 Xより

先月3月19日、ウクライナのゼレンスキー大統領とフィンランドのストゥッブ大統領が会談を行いました。その中で、ウクライナの領土全体に近代的なシェルターを建設するというウクライナの国家戦略に対して、フィンランドが支援を行うとし、両国は「民間防衛シェルター連合」を結成することに合意しました。

地下シェルター先進国フィンランド

フィンランドが高度なシェルター技術とシステムを保有しており、世界的に見てもシェルター先進国であることは、これまで当協会としてもお伝えしてきました。昨年7月には駐日フィンランド大使館の後援により、当協会主催のフォーラムが開催され、フィンランドのシェルター関連企業により、その先進性が伝えられていたところです。

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現在フィンランドには、約5万ヶ所の地下シェルターが存在し、約480万人を収容可能としています。これは総人口に対して普及率85%以上と非常に高い水準を誇っています。同国では1939年の国民保護法の成立からシェルターの設置が始まり、必要数の達成を果たす2011年まで実に70年をかけて、国民を保護するための国家プロジェクトを推進してきました。この長い歩みを経たことで、シェルター建設技術の発展だけでなく、避難計画や避難訓練プログラムといった運用面も整備されてきたのです。

ウクライナへの国民保護に対する支援拡大

現在フィンランドは、ロシアの侵略により甚大な被害を受けているウクライナへさまざまな支援を決定しています。2月26日には、すでにウクライナへの6億6,000万ユーロの軍事援助を発表しており、シェルターに関してもウクライナの避難所ネットワークや避難システムの改善を支援することを約束しています。そして、この度の民間防衛シェルター連合結成の合意に至るわけですが、その合意書の内容を下記に要約します。

基本合意書 要約

  • 欧州諸国と協力し、ウクライナに永続的な平和をもたらす方法を追求する
  • ウクライナの平和のためには、信頼できる安全保障の提供と民間人や重要インフラの保護が不可欠であるという前提条件を共有する
  • フィンランドは、ウクライナにこれまで36億ユーロを超える包括的な支援を行ってきたが、さらに支援を拡大することを約束する
  • 民間防衛シェルター連合を発足させることにより、ウクライナのシェルターシステムの近代化を支援し、国際的な支援も発展させる
  • ウクライナの国家戦略目標に沿って、「最新鋭の」民間防衛シェルターシステムを構築する

以上となりますが、ウクライナの平和と国民の安全を支えるために、具体的かつ前向きな取り組みが示されており、非常に有意義な合意だと感じます。国際的な協力の必要性を強調している点も印象的です。

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ウクライナ・ボロディアンカの地上構造物

ウクライナ・ボロディアンカの崩壊する地上構造物

地下シェルターの重要性を明示

このニュースは、地下シェルターの重要性を再認識させるものであり、当事国であるウクライナが実体験に基づいてその重要性を語ってくれていると言えます。もっと言えば、有事になる前に備えておくことで、より多くの国民の命や生活を守ることができるということでもあります。日本においても、このような備えは非常に重要であり、当協会としては今後もこうした情報収集や研究を続け、国内における地下シェルター普及に貢献していく所存です。

日本核シェルター協会 事務局

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