広島型核爆発にも対応!スイス民間防衛仕様の核シェルターモデルルーム

2023年5月16日

シェルターの区分

日本では馴染みの薄い核シェルターですが、世界では一般的です。冷戦下の欧州では非常に普及しました。特に永世中立国のスイスでは建築物へのシェルターの整備が義務化されていたので、普及率は人口比で100%を超えています。

当協会が先週オープンした 核シェルターのモデルルーム は、このスイスの民間防衛仕様にしたがっています。スイスの民間防衛仕様とは爆風による過圧を1バール(=100kPa=100kN/㎡)と設定しています。と記しても「なんじゃ、そりゃ」という方が多いと思いますので、本記事では、まずはシェルターの基礎知識をお伝えします。

防爆ドア

日本ではシェルターといっても詳細を知る方は少ないので、まずはシェルターの区分から。シェルターは大きく4種類に分けられます。

  • 核シェルター

  • 地下に鉄筋コンクリートで建設するタイプです。核攻撃の爆風、熱線、放射線、残留放射線(誘導放射線、放射性降下物)の被害を防護する構造を採ります。欧州や旧ソ連、アジアで主流のタイプがこの核シェルターです。その他の地域でも重要施設のシェルターは核シェルター仕様です。
  • 防爆シェルター

  • 爆発から防護するための構造を採るシェルターです。核シェルターのひな型となったシェルターであり、ひと昔前の防空壕もこのカテゴリーに入ります。
  • フォールアウトシェルター

  • 室内の気密性を高めて放射性降下物(フォールアウト)を除去する換気装置を導入することで、放射性降下物の被害から防護するシェルターです。アメリカで1960年代にケネディ大統領が建設を主導して、流行しました。
  • ストームシェルター

  • ハリケーンや竜巻から命を守るためのシェルターであり、アメリカの民間で主流のタイプです。金属で覆われた物体(箱)を地中に埋めるタイプが多く、ハリケーンや竜巻の被害を防ぎます。

そして、当協会で建設したモデルルームは「核シェルター」となります。

スイス民間防衛仕様=耐1バール

当協会のモデルルームはスイス民間防衛仕様にそって建設されています。スイス民間防衛仕様では核攻撃による爆風を1バールと設定しています。では、1バールとはどの程度の過圧なのでしょうか?

1バールは100kPa=100kN/㎡です。無理やり風速に換算するとおおよそ風速405m/sです。地上の鉄筋コンクリートの建築物にも中規模の被害が出る爆風となります。広島型原爆であれば、爆心地から半径約800mの地点が1バールと推測されています。長崎型だと半径約900m。この程度離れた場所であれば、命を守れる仕様となっています。

ちなみに、某北西の隣国が保有する100ktクラスでは1.5㎞(空中爆発)、1.2㎞(地表爆発)離れた場所が1バールの地点と推測されています。某西の隣国が保有する1Mtクラスでは3.2㎞(空中爆発)、2.6㎞(地表爆発)です。

核爆発に注目してしまいがちですが、もちろん通常兵器にも対応は可能です。ウクライナ侵攻で地上の建築物が爆風で崩壊した映像をご覧になった方も少なくないと思いますが、通常兵器は核爆発に比べて数千分の1程度のエネルギーです。

放射性降下物を除去する換気装置が導入されていますので、化学兵器や細菌兵器にも対応可能です。もちろん地震や火山噴火などの自然災害にも対応可能なのがスイス民間防衛仕様となります。

日本核シェルター協会
事務局

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