年頭所感~変革に加速を
新年、明けましておめでとうございます。
新しい年を迎え思い出されるのは、昨年の元日に能登半島を襲った最大震度7の大地震です。今もなお、避難生活を余儀なくされている方も多く、被災されたすべての方々に心よりお見舞い申し上げます。人災、天災を問わず人々の安全を確保するシェルターの普及を進める者として、元旦に起こった惨事には忸怩たる思いであります。
同じ年の年初、私はこの年を「シェルター元年」であると申し上げました。文字通り、2024年はシェルター普及活動にとって大きな一歩を踏み始めた年になりました。特に3月には、政府によりシェルターに関するガイドライン(特定臨時避難施設の技術ガイドライン)が発表され、このことはシェルターの必要性について国民の理解が大きく進む契機になったであろうと考えております。
一方で、世界の安全保障環境は厳しい状況が続いております。特に近隣諸国の軍事力の増強や新たな兵器技術の開発が進むなど、日本にもさらなる脅威を与えており、私たちの安全確保に対する取り組みはこれまで以上に求められています。
このような状況下にあって、我が国のシェルター整備状況は依然として遅れを取っており、現在進められている整備計画にも、残念ながらCBRNE対策が含まれていないのが実情です。この現状を踏まえれば、私たち日本核シェルター協会に求められるのは、まだ始まったばかりのこの変革を加速させることであると考えます。
本年は、自治体レベルでもさらに具体的な計画が進み、シェルター建設に着工するところも出てくることが予想されます。これまで活動してきた中で痛感するのは、実際にシェルターを必要とする人々の声や、それを受けた行政や関連企業の方々の声が、大きな原動力になるということです。このことを改めて会員様をはじめ、多くの皆様に認識して欲しいと思います。
また、今後求められるのは日本独自の風土や環境に合った基準の策定と、それに見合った法整備や規制緩和です。さらにはシェルター建設に関する新たな技術開発や設備等の国産化も重要です。これには民間企業の技術力や創意工夫と、それらを最大限に活用するため、行政の積極的な支援も必要であると考えます。こういった観点を重視して、本年も私たちは協会活動に取り組んで参ります。
本年は、後から振り返れば日本における核シェルター普及の草創期であったと評されると確信しております。私たち日本核シェルター協会は、この流れを止めることなく、未来に向けた確実な一歩を築いていきます。
引き続き皆様のご支援とご協力を賜りますよう、本年もよろしくお願い申し上げます。
理事長 池田 時浩