核シェルター内で試食会を開催!第2回防災食・災害食研究部会

座長の矢代晴実顧問(元防衛大学校教授)によるご挨拶
1月21日 当協会の本部にて「第2回防災食・災害食研究部会」を開催しました。本部会の目的は、閉鎖空間で最低2週間の避難生活を想定する核シェルターという、従来の避難所とは異なる環境下において、より適した災害食・備蓄食の在り方ついて研究することです。そのためには、実際の環境に近い状況に身を置くことが重要であるということで、今回は当協会の核シェルターモデルルームで試食会を開催しました。
本部会には多くの災害食・備蓄食のメーカーや商社が参加しており、各社が主要な商品を持ち寄りました。その中でも、最新製品の味のクオリティには大変驚かされます。調理法は水やお湯を必要とするもの、そのまま食べることができるものなど様々ですが、基本的に手間のかかるものはありません。この辺りは想定通りですが、閉鎖空間で2週間滞在となるといくつかの課題が見えてきます。
例えば、飽きのこないメニューのバリエーションは必要でしょう。一方で、狭い空間で各自が異なるメニューを食べることで匂いが混ざり合い、不快に感じることも課題の一つです。さらに、調理スペースの確保や安全対策も重要なポイントです。

核シェルター内で試食会の様子
また、スフィア基準という、災害や紛争による被災者の尊厳や権利を守る目的で定められた国際基準がありますが、日本もこの基準に準ずる方向に進んでいます。スフィア基準は下記の2つの基本理念に基づいています。
スフィア基準の基本理念
- 災害や紛争の影響を受けた人びとには、尊厳ある生活を営む権利があり、従って、支援を受ける権利がある。
- 災害や紛争による苦痛を軽減するために、実行可能なあらゆる手段が尽くされなくてはならない。
これは日本でありがちな「避難中だから我慢」という考えを見直すものになりますが、核シェルターにもこれは求められるでしょう。単に生き延びるための最低限の食事ではなく、栄養バランスや食の楽しみも考慮されるべきです。今後、スフィア基準に基づいたより良い避難環境を目指す上で、食事の質の向上への取り組みは重要な要素となります。
本部会では、今回の試食会により、具体的に浮き彫りになった課題を取りまとめ、その解決のために様々な角度から研究を進める方針です。