日本核シェルター協会 緊急声明

2022年11月25日

こんにちは、日本核シェルター協会事務局です。
昨日松野博一官房長官が記者会見で住民向けシェルター整備を検討すると述べました。これまで核シェルターづくりに取り組んでこなかった日本政府としては、大きな一歩だと思います。日本核シェルター協会としては歓迎します。

ただし、実際の核シェルターづくりについては懸念があります。

核攻撃の破壊力は非常に強く、その影響には、爆風(衝撃波)、初期放射線、熱線(及び閃光)、残留放射線(誘導放射線と放射性下降物)の4種類があります。そのどれもが非常に恐ろしい被害を及ぼします。爆風だけとってもみても、長崎型の20ktクラスの原子爆弾では爆心地から1.1㎞ではビルやマンションなどのほとんどの建物が崩壊し、4.6㎞の範囲では家屋が破壊されます。1Mtの水素爆弾では4.2㎞の範囲でビルなどは崩壊し、16.9㎞の範囲で家屋が破壊されます。
家屋だけではなく、人体も爆風の直接波だけで眼球破壊や鼓膜の損傷などの被害を受けます。校庭や体育館にしゃがみこんで頭を押さえこんでいては子どもたちの大事な目と耳は守れません。

熱線もひどい被害を発生させます。
広島型の16ktの原子爆弾で爆心地から半径2.2㎞の範囲でⅢ度熱傷(皮膚が再生できず原則として手術が必要)の被害が起こります。特に日本の家屋は木材を使用しており、ガソリンを入れた車が都市や住宅街には大量にあります。燃料だらけですので、一次被害だけではなく、火災などの二次被害、さらに火事嵐(火災旋風)などの三次被害も予想されます。特に火事嵐は炎の竜巻ですから、熱輻射による四次被害も出てきます。原子爆弾ではなく1Mtクラスの水素爆弾ではより被害は拡大します。

「核」シェルターは、上記の4種類の被害から命を守るためのものです。単に放射性下降物を除去するフィルターを使っているだけでは、爆風や初期放射線には対応できませんし、金属では中性子は素通りです。そもそもいつどんなタイミングで、どこの核シェルターに避難すればよいのか、そのような指針もありません。日本では残念なことに核シェルターに関する必要な情報が不足しています。

この度の政府の素晴らしい決断を受けて、日本核シェルター協会では核被害を防ぐための情報を積極的に発信していきます。

参考)首相官邸ホームページ 令和4年11月24日(木)午前 内閣官房長官記者会見

https://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/202211/24_a.html(該当の説明は6:50~)

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